お口の健康は、歯や歯肉だけではなく、お身体全体に影響を及ぼします。
そのため、効果的な歯磨きや、予防を基本とした定期健診は、患者様の日常を健康に過ごすことに重要な役割を果たします。
特に、歯磨きは、歯や入れ歯、舌を含めた粘膜に付着する汚れ(細菌)を器質的に除去することに効果的です。虫歯や歯周病の原因となる細菌には、誤って気管に唾液と一緒に流入することで誤嚥性肺炎を起こすリスクがあります。特に、免疫や体力の低下した高齢者には注意が必要です。
歯を磨くと、口唇や舌を動かすため、お口周りの筋肉のマッサージやトレーニングにもつながります。お口周りの筋肉を活性化することで、キチンとお口を閉じることができるようになります。口呼吸の予防により、外気に含まれたウィルスが咽頭から体内へ直接流入することを予防することができます。
また、定期健診で早期に虫歯や歯周病を発見し、治療につなげることで口腔内の悪い働きをする細菌を減少させることができます。もともと、常在菌といってお口の中には様々な種類の菌が住んでいますが、お口の清掃状態や健康状態が悪いと、虫歯や歯周病の原因となる細菌の割合が増加してしまいます。虫歯や歯周病の原因となる細菌が生産するタンパクは、ウィルスの粘膜への侵入を促進する働きがあることが分かっています。
セルフケアのみで口腔ケアを行ったグループに比べて、歯科衛生士による適切な口腔ケアをうけたグループでは、1年の内、風邪やインフルエンザの発症率が低下していたことが報告されています。
このように、虫歯や歯周病の原因となる細菌を減少させることは、お身体全体の健康に大切です。
歯科受診控えにより、定期健診やメインテナンスを中断してしまった方や、感染症予防にご関心をお持ちの方は、まずはかかりつけ歯科医師に相談してみましょう。